REACH規則第25次SVHCが確定しました。

2021.7.11 update

2021.7.8　　REACH規則第25次SVHCが確定しました。

SVHCは従来の211物質に8物質を追加し、219物質となりました。

ECHAの公式文書（外部リンク）

Candidate List updated with eight hazardous chemicals
https://echa.europa.eu/-/candidate-list-updated-with-eight-hazardous-chemicals

SVHC（高懸念物質）、認可対象物質、制限対象物質の関係

SVHCの理解のために１（イラスト入り）　
　What is the Candidate List ?（候補リストって何？）

SVHCの理解のために２（イラスト入り）
　ECHAのtweetより

SVHCの追加（８物質）

25次SVHCの候補物質から変更なく、８物質が追加されました。

番号	日本語名（参考）	英語名	CAS RN	提案理由
1	2-(4-tert-ブチルベンジル）プロピオンアルデヒドおよびその各立体異性体	2-(4-tert-butylbenzyl)propionaldehyde and its individual stereoisomers	ー	c) Toxic for Reproduction(生殖毒性）
2	ホウ酸のナトリウム塩	Orthoboric acid, sodium salt	13840-56-7	c) Toxic for Reproduction(生殖毒性）
3	2,2-ビス(ブロモメチル）プロパン-1,3-ジオール（BMP) 2,2-ジメチルプロパン-1-オール、トリブロモ誘導体3-ブロモ-2,2-ビス(ブロモメチル）-1-プロパノール（TBNPA) 2,3-ジブロモ-1-プロパノール（2,3-DBPA)	2,2-bis(bromomethyl)propane1,3-diol (BMP); 2,2-dimethylpropan-1-ol, tribromo derivative/3-bromo-2,2-bis(bromomethyl)-1-propanol (TBNPA); 2,3-dibromo-1-propanol (2,3-DBPA)	3296-90-0 36483-57-5 1522-92-5 96-13-9	a) Carcinogenic(発がん性)
4	グルタラール	Glutaral	111-30-8	f) Respiratory sensitising properties- human health(呼吸器感作性-人の健康）
5	中鎖塩素化パラフィン(MCCP)[炭素鎖がC14からC17の範囲にある直鎖クロロアルカンが80％以上含まれるUVCB物質]	Medium-chain chlorinated paraffins (MCCP) [UVCB substances consisting of more than or equal to 80% linear chloroalkanes with carbon chain lengths within the range from C14 to C17]	ー	d) PBT（難分解性、生物蓄積性、有毒な物質） e) vPvB（極めて難分解性で生物蓄積性が非常に高い物質）
6	フェノールのアルキル化物（主にパラ位）（オリゴマー化したものからC12リッチの分岐鎖または直鎖アルキル鎖を有する）。個々の異性体および混合物、それらの組み合わせを含む。 (PDDP；p-dodecylphenol，p-ドデシルフェノール)	Phenol, alkylation products (mainly in para position) with C12-rich branched or linear alkyl chains from oligomerisation, covering any individual isomers and/ or combinations thereof (PDDP)	ー	c) Toxic for Reproduction(生殖毒性） f) Endocrine disrupting properties- environment and human health (環境および人の健康に対する内分泌かく乱性）
7	1,4-ジオキサン	1,4-dioxane	123-91-1	f) Equivalent level of concern having probable serious effects on environment (環境に深刻な影響を及ぼす懸念と同等レベル） f) Equivalent level of concern having probable serious effects on human health (人の健康に深刻な影響を及ぼす懸念と同等レベル）
8	4,4'-(1-メチルプロピリデン）ビスフェノール（ビスフェノールB）	4,4'-(1-methylpropylidene)bisphenol; (bisphenol B)	77-40-7	f) Endocrine disrupting properties- environment and human health (環境および人の健康に対する内分泌かく乱性）

2-(4-tert-ブチルベンジル）プロピオンアルデヒドおよびその各立体異性体

CAS RN 80-54-6など

香料（リリー，ミューゲ，ライラックなどの花香調合）などに使用。

化学式

ECHA発表の用途例

洗浄剤、化粧品、香り付けされた製品、ポリッシュ、ワックスブレンドなど。

ホウ酸のナトリウム塩

CAS RN 13840-56-7

以下のようにナトリウムの数（１，２，３）により構造が変化する。

化学式

ECHA発表の用途例

REACH未登録
溶剤、腐食防止剤として使用される可能性あり。

2,2-ビス(ブロモメチル）プロパン-1,3-ジオール（BMP)

CAS RN 3296-90-0

不飽和ポリエステル樹脂・ウレタンの難燃剤として使用。

化学式

ECHA発表の用途例

ポリマー樹脂の製造および一液性発泡体（OCPF）用。

①2,2-ジメチルプロパン-1-オール、トリブロモ誘導体
②3-ブロモ-2,2-ビス(ブロモメチル）-1-プロパノール（TBNPA)

①　CAS RN 36483-57-5　②　CAS RN 1522-92-5

①②とも全く同じ構造式。

化学式

ECHA発表の用途例

TBNPA：プラスチック製品のポリマー合成。中間体として配合、変換されたものを含む。

2,3-ジブロモ-1-プロパノール（2,3-DBPA)

CAS RN 96-13-9

有機合成原料、難燃剤、殺虫剤、薬剤の調整中間体、工業用中間体として使用。

化学式

ECHA発表の用途例

中間体として登録済。

グルタラール

CAS RN 111-30-8

別名　グルタルアルデヒド

殺菌剤、架橋剤，なめし剤、レントゲン写真の現像液などに使用。

化学式

ECHA発表の用途例

殺生物剤、皮革のなめし、X線フィルムの加工、化粧品

塩素化パラフィン(MCCP)[炭素鎖がC14からC17の範囲にある直鎖クロロアルカンが80％以上含まれるUVCB物質]

主にポリ塩化ビニルの可塑剤に使用。

塩素化パラフィンは飽和脂肪族炭化水素（アルカン）に塩素を付加した有機塩素化合物の総称で、炭素鎖長により、以下の３種に分類される。

短鎖塩素化パラフィン(SCCP)はPOPs条約（ストックホルム条約）の附属書A （製造・使用、輸出入の原則禁止）、化審法の第１種特定化学物質に指定されており、原則、製造輸出入禁止となる。

名称	略称	英語名	炭素鎖長
短鎖塩素化パラフィン	SCCP	Short-chain chlorinated paraffins	C10-C13
中鎖塩素化パラフィン	MCCP	Medium-chain chlorinated paraffins	C14-C17
長鎖塩素化パラフィン	LCCP	Long-chain chlorinated paraffins	C17以上

ECHA発表の用途例

プラスチック、シーラント、ゴム、繊維製品の難燃剤、可塑化剤

UVCB物質とは
Substance of Unknown or Variable composition, Complex reaction products or Biological materials

組成が未知か又は不定な構成要素をもつ物質、複雑な反応生成物、又は生体物質のこと。これらの物質は、その組成のみから明確に特定することは困難である。由来又は製造プロセスなど、別の識別子の考慮が必要である。
（REACH予備登録のための実践的ステップ　環境省仮訳より）

フェノールのアルキル化物（主にパラ位）（オリゴマー化したものからC12リッチの分岐鎖または直鎖アルキル鎖を有する）。個々の異性体および混合物、それらの組み合わせを含む。 (PDDP；p-dodecylphenol，p-ドデシルフェノール)

界面活性剤原料，フェノール樹脂原料として使用される。

化学式

＜PDDP( p-ドデシルフェノール）＞

ECHA発表の用途例

潤滑油添加剤や燃料系洗浄剤の合成用。

1,4-ジオキサン

CAS RN 123-91-1

環状エーテルの一つ。洗浄用、合成皮革用、反応用の溶剤等に使用される。

化学式

適用法令

消防法　危険物第４類第１石油類水溶性液体
労働安全衛生法　表示・通知義務対象物質　
　特定化学物質障害予防規則（特化則）　特別有機溶剤
化管法　　第１種指定化学物質　　　　　　　　　　　　　　

などに該当。

ECHA発表の用途例

溶剤

4,4'-(1-メチルプロピリデン）ビスフェノール（ビスフェノールB）

CAS RN 77-40-7
有機合成中間体として使用。

化学式

ECHA発表の用途例

REACH未登録
フェノール樹脂やポリカーボネート樹脂の製造に使用される可能性あり。