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正式名称は有機溶剤中毒予防規則で、略して有機則と言います。有機溶剤を吸入や接触することにより、健康被害のおそれがあるため、取扱い方法などを規制した法律です。
・色材、樹脂などの物質を溶解する性質をもつ有機化合物の総称です。
・皮膚や呼吸器から吸入されるため、取り扱いに注意が必要です。
有機溶剤を5wt%以上含有すると規制の対象になります。
有機溶剤を使用した業務を行うと、主に以下のことが義務づけられます。
①定期特殊健康診断
②局所排気装置の設置
③作業環境の定期的な管理
④有機溶剤作業主任者の設置
毒性によって第1種有機溶剤、第2種有機溶剤、第3種有機溶剤に区分されています。
毒性 (高)第1種>第2種>第3種(低)
さらに発がん性など毒性の高い溶剤を「特別有機溶剤」として定義し、特定化学物質障害予防規則で管理しています。
①~⑫のように定義されています。
①有機溶剤等を製造する工程における有機溶剤等のろ過、混合、攪拌、加熱又は容器若しくは設備への注入の業務
②染料、医薬品、農薬、化学繊維、合成樹脂、有機顔料、油脂、香料、甘味料、火薬、写真薬品、ゴム若しくは可塑剤又はこれらのものの中間体を製造する工程における有機溶剤等のろ過、混合、攪拌又は加熱の業務
③有機溶剤含有物を用いて行う印刷の業務
④有機溶剤含有物を用いて行う文字の書込み又は描画の業務
⑤有機溶剤等を用いて行うつや出し、防水その他物の面の加工の業務
⑥接着のためにする有機溶剤等の塗布の業務
⑦接着のために有機溶剤等を塗布された物の接着の業務
⑧有機溶剤等を用いて行う洗浄
⑨有機溶剤含有物を用いて行う塗装の業務
⑩有機溶剤等が付着している物の乾燥の業務
⑪有機溶剤等を用いて行う試験又は研究の業務
⑫有機溶剤等を入れたことのあるタンクの内部における業務
屋内作業場は以下のように定められています。
屋内作業場、船舶の内部、車両の内部、タンクの内部、ピツトの内部、坑の内部、ずい道の内部、暗きよ又はマンホールの内部、箱桁の内部、ダクトの内部、水管の内部、通風が不十分な場所
作業時間1時間に消費する有機溶剤の量が以下の表の許容消費量を超えない場合には、適用の除外を受けることができます。
その場合には事業者は、労働基準監督署の認定を受ける必要があります。
消費する有機溶剤等の区分 | 有機溶剤等の許容消費量 |
---|---|
第1種有機溶剤等 | W=(1/15)×A |
第2種有機溶剤等 | W=(2/5)×A |
第3種有機溶剤等 | W=(3/2)×A |
W 有機溶剤等の許容消費量(単位 g)
A 作業場の気積(床面から4mを超える高さにある空間を除く。単位 m3)。ただし、気積が150m3を超える場合は、150m3とする。
第1種有機溶剤、第2種有機溶剤を使用する場合は蒸気の発生源を密閉する設備、局所排気装置、プッシュプル型換気装置のいずれかを設ける必要があります。
第3種有機溶剤の場合はタンクの内部の吹きつけの作業のみ上記装置のいずれかが必要です。ちなみに吹きつけの作業でなければ全体換気装置でも構いません。
有機溶剤作業主任者技能講習を修了したものから選任します。
① 作業の方法を決定し、労働者を指揮すること。
② 局所排気装置、プッシュプル型換気装置または全体換気装置を1月以内ごとに点検すること。
③ 保護具の使用状況を監視すること。
④ タンク内作業における措置が講じられていることを確認すること。
有機溶剤を使用する業務を行う労働者に対して6ヶ月に1回、使用する有機溶剤に応じた健康診断を実施する必要があります。
第1種有機溶剤、第2種有機溶剤を使用する作業場では作業環境測定が必要です。
6ヶ月以内ごとに1回、作業環境測定士による作業環境測定を行います。
測定の記録および評価の記録を3年間保存する必要があります。
有機溶剤を使用する作業場所には以下の内容を掲示する必要があります。
①作業主任者の氏名・職務の掲示
②有機溶剤が人体に及ぼす作用等の掲示
③取り扱う有機溶剤等の区分の表示
第1種:赤、第2種:黄、第3種:青
貯蔵するときは、有機溶剤等がこぼれ、漏えいし、または発散するおそれのない栓等をした堅固な容器を用い、施錠できる換気の良い場所に保管しなければなりません。空容器は、当該容器を密閉するか、または当該容器を屋外の一定の場所に集積しなければなりません。
局所排気装置がない場合には送気マスクまたは有機ガス用の防毒マスクが必要となります。
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